【完】キミさえいれば、なにもいらない。
「えっ、市ノ瀬さん、その衣装すごく似合う!」


放課後の教室、クラスメイト達みんなで学祭準備を行う中、仮装喫茶で着る衣装をあれこれ試着していた時のこと。


勧められるがまま私がメイド服を試しに着たら、そこにいた女子たちからなぜかその姿を絶賛された。


「ほんとだー!めちゃくちゃ可愛い!これはもう、市ノ瀬さんはメイド服に決定だね!」


「えっ!」


「うん、決定!だって、似合いすぎだもん」


そして、そのまま衣装がメイド服に決まってしまい、戸惑う私。


どうしよう。ただ他の派手な衣装に比べたらマシだと思って着ただけなのに……。


こんなコスプレみたいな格好するの初めてだし、なんだかすごく恥ずかしい。しかも、スカートが結構短いし。


でも、他に着れそうな衣装もなかったしなぁ……。


なんてことをあれこれ考えていたら、そこに同じく衣装に着替えた璃子が現れて、ポンと肩を叩いてきた。


「じゃーん!私、チャイナドレスにしてみました~。どう?」


真っ赤なチャイナドレスに身を包んだ璃子はいつもより大人っぽく見えて、すごく可愛い。しかも、サイドのスリットから足が見えて、なんかちょっとセクシーだし。


「え、すごい!可愛い!」


思わず声をあげたら、璃子は嬉しそうにニッと笑った。



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