黒犬
「少年どうだった?」
総丘さん
「無事成功です。」
「俊ちゃん…」
紗智栞さん
「無事ですよ。」
「………。」
天堂さん
「元気です。」
良かったとみんな口々に言った
部屋へ戻って着替える
格技場へ行った
誰もいなかった
竹刀を持って構える
何かしてないと壊れそうだった
いや
何かしても……
ーカラン カラン
竹でできたそれが転がった
体を丸める
…っ……ぅゔ………
床に雫が落ちる
「道具は大切にしないと。」
天堂さんだ…
彼は竹刀を拾い上げこちらへ向けた
「俺があげたんだから…」
笑った顔
目の下にはひどいクマがあった
「何泣いてんの。」
「守れなかった…。
俺は守られ「守ってくれたよ
俊はちゃんとあいつを生きたまま連れて帰って来てくれた。
立派だよ。」
「もっと俺が強ければ…
傷つかなかった………。」
「あいつにはいい機会だよ…
あいつ休むことしないから……。」
ねって笑顔を向ける天堂さん
「……ありがとうございます。」
竹刀を受け取って部屋へ戻ろうとする
「待って…
一本やろう。」
苦しそうな顔で笑っていた
どっちもどっちな戦況
いつものキレはない
2人とも足元がおぼつかない
動きにリズムもなかった
ーパーン
そこまで気持ちのよくない音
俺の負けだ
体が揺れる
いつしか抱かれた細く筋肉のついた腕
布団に寝かされる
「ゆっくり休んだほうがいい。」
目を瞑ることにした
〜〜〜