黒犬
〜〜〜
〜SIDE 俊平
あれ以外特に何もなく一週間が経った
今日あの人が帰ってくる
俺は病院へ向かった
病室では男が立っていた
「…。」
静かに視線をこちらへ移した
「帰ろう。」
差し伸べた手を彼は取らなかった
「治ったんですか?」
前を行く男に問いかける
「ああ。」
手を取ってこっちを向かせる
襟を開いて体を見た
「おい…
大胆だな…。」
白い布がまかれたそこ
それを取ってみる
傷は閉じていた
「な?」
掴んだ俺の手を払って襟を治す
前に叶と呼ばれる医者がいた
「少年。
こいつを見張っとけ…
まだ無茶はできない。」
すれ違いざま
そう呟いた
彼に一礼する
家でパーティーが行われた
総丘さん、天堂さん、愛兎さんも飲んで飲んで飲みまくってうるさかったから風呂に入って部屋に戻った
酔っ払いは嫌いだ
総丘さんは泣き出すし、天堂さんは絡み出すし、愛兎さんは怒ったり笑ったりとりあえずうるさい
だから逃げた
「騒がしいね。」
紗智栞さんだ
「でもあの人たちがあんなに飲んで騒いでるの久し振りに見たわ。
今夜は飲ませてあげましょう。」
1人で寝れる?」
「寝れますよ!」
彼女は意地悪い顔で笑っていた
「そ、おやすみなさい。」
部屋が暗くなった
隣の部屋からは酔っ払いの騒ぎごえが変わらず聞こえる
布団をかぶって目を瞑った
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