3月生まれの恋人〜first christmas〜
『知り合いの店ですんごい旨いとこあるんだけど、そこならすぐに食えると思うんだ』
俺の言葉に、彼女がこくこくと大きく頷く
『クリスマスの雰囲気はゼロに等しいと思うんだけど・・・』
一応、先に断りをつけると、全然大丈夫!と言い切る彼女
予定は完全変更で、俺は歩いて来た道を引き返す
五分ほど、歩いて見えてくる店
『すごい!もしかして、あれ?』
目ざとく気付いた彼女が突然はしゃいだ?声を上げ店を指差した。
あぁ、そう
『うん、あれなんだけど・・・』
彼女の指差したところに有るのは一軒の古い“おでん屋台”
家業の豆腐屋を継いだ中学の先輩が、半分趣味で開いているようなそんな店
『やっぱりやってんな・・・』
つーことは先輩、今年もロンリー・クリスマス
女連れで行ったら、後日ひどい目に遭うかも・・・
でも、何故だか異常に喜ぶ彼女を見ると、もうどうでもよくなってしまう
近づいて見ると、先客はくたびれた親父が一人
『こんちわ』
暖簾をくぐって先輩に挨拶すると、先輩は驚いた顔を俺に向けた