たった7日間で恋人になる方法


昼間と夜じゃ、こうも違うのかと、改めて実感する。

結局、駅ビル内にある、落ち着いたアジアン風カフェに入ると、窓際の席に案内され、目の前では、片肘を立てて顎を支えながら窓の外を見ている拓真君。

いつもかけている分厚い縁の黒眼鏡の代わりに、今日は銀縁のクラッシック眼鏡。

この前、視力が悪いわけじゃないって言っていたから、これも伊達メガネだということだろうか…何故かここだけは変わらず伸ばしたままのずぼらな髪も、こうやって見れば知的な学者のようにも見えるのだから、不思議なものだ。

『よく降るな…』
『えっ』
『雨』
『あ、雨…ね、そうだね…よく、降るね』

いかにもギクシャクとした受け答えに、我ながら情けなくなる。

今週は、ほとんど毎日のように二人で食事やお酒を共にしてきたけれど、昼間の…しかも私服姿の拓真君とこうして二人でいることに、どうしても違和感がぬぐえない。

それに、今日の拓真君、いつもとなんか雰囲気が違うような気がするのは、気せいだろうか。

自分の置かれた状況を出来る限り冷静に分析しながら、タピオカ入りのホットミルクティを口にすると、ソーサーに戻したカップが思いのほかカタカタと音を立て、極度に緊張してるのがバレバレだった。

『萌』
『は、はい?』
『緊張しすぎ』

窓の外から視線を戻し、可笑しそうにクスクス笑ってる。
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