たった7日間で恋人になる方法
目の前では、完全に逃げ場を失くし、壁に背をつけ怯えたような、時枝君。

その姿を見ながら、徐にトートバックの中から、現金10万円の入った茶封筒を取り出すと、それを彼に真っすぐ差し出すと同時に、ぺこりと頭を下げた。

『このお金で、時枝君の1週間分の時間をください!!』
『…は??』

時枝君が、声にならない声を発してから、しばし時間がかかった気がする。

5秒だったか、30秒だったか、1分だったか。

次に時枝君が発した言葉は、怯えから戸惑う声音に変わっていた。

『あの…森野さん?それはいったいどういう…』

私は、受け取らずにボー然としている彼の上着のポケットに、持っていた茶封筒を差し入れると、真っすぐ彼を見据えた。

『その封筒には現金10万円が入ってます』
『えッ!ちょっと、10万って、そんな大金…いや金額じゃなくって、どちらにしても、もらえない…』

咄嗟に今入れたばかりの封筒を取り出し、焦りだす時枝君。

正直、彼がこんなにしゃべるのは初めて見た気がして、少し驚いた。

それより、彼の反応は当然といえば当然だろうけど、こちらとしても、ここまで来て引くわけにはいかない。

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