トラウマの恋



衛藤に責められたあの日から
しばらく経ったある日。


今日は新しいトリートメントの講習を受けに
営業後にある駅に来た。


あ、ここ茅菜の職場の最寄りだな。
っていちいち思い出してしまう。


するとホームに会いたかった人の後ろ姿。
堪らなくなって声をかけた。


「おい、茅菜。」

と。
絶対聞こえているのにこっちを向かない。


「茅菜、こらシカトすんな。
こっち向けよ。」

ゆっくりこっちへ顔を向ける茅菜。

「あ、上原さん。こんばんは。
お久しぶりですね、
わたし急いでるので、失礼します。」

なんだよ、上原さんって。
咄嗟にそのまま立ち去ろうとする
茅菜のうでを掴んでいた。

「待って。」


「ごめん、ほんと。時間ない?
ちょっと話したくて。」

縋るような気持ちで伝えた。





「ごめんなさい。本当に急いでて。」

そう言って茅菜は
次に来た電車に飛び乗っていった。




駄目か。
そう思うけど諦められない。

どうしたらいいんだ。

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