砂糖よりも甘い君
凛斗様はそう言うと自分の部屋へ行ってしまった。


やっぱり……行かないと、ですよね?


緊張して手が震える。


私はため息をつきながら洗い物を済ませた。


片付けを終えてお店を閉めてから着替える。


そして私はゆっくり凛斗様の部屋をノックした。


「あの……凛斗様?紅華です……」


そう言うと凛斗様の部屋の扉が開いた。


「入って」


「え!?は、入る!?」


「何?ここで立ち話したいの?めっちゃ邪魔なんだけど」


「すすす、すみません!!」


慌てて凛斗様の部屋に入る。


凛斗様のいい匂いが部屋からして頭がクラクラしてくる。


イケメンの部屋に……私のようなメス豚が……っ!!


「紅華に少し話があってさ」


「は、話……?」


「俺、今ドラマの撮影してるだろ?その現場に差し入れで何か持って行く為に紅華にケーキ作ってもらいたいわけ」


「わ、私の作ったケーキですか!?何故です!?お口汚しにも程がありますよ!?」


「いや、お前のケーキ普通に美味いから」


「凛斗様は優しいから……っ!!」


「ケーキの種類はなんでもいい。俺、次のクールのドラマも決まってるから、スタッフとかにお礼したいんだよ。だから紅華、お願い」


そんな真っ直ぐ目を見てくるなんて……反則だ。


私はゆっくり頷いた。


「じゃあ紅華、よろしく」


「はい……」


これはもうやるしかない。


凛斗様や正人さんの評判を落とさないように頑張らないと。


責任重大……っ!!


「ところで紅華。相変わらずそのダサい服装なの、なんなの?」


「ダサ……っ!?」


「やっぱお前、今度俺と一緒に買い物行くぞ」


「だ、ダメです!!凛斗様はアイドルですよ!?私のような地味ブスが隣にいるなんて許されません!!むしろ私、ファンの方に殺されてしまいます!!」


「またお前は……」


凛斗様はため息をつくと私の頭に手を置いた。

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