恋は甘い蜜の味



「あっ、ご、ごめんっ」


慌てて顔を逸らしたんだけど…これってなんかおかしくない?

だいたいここは私の部屋なんだけど!…なんて強いこと言えるわけもなくて、仕方なく椅子に座った私。

はぁ…なんかこの子、本当掴みにくいよー…


「…あっ!あの――」


コンコンッ――…


「お姉ちゃん、開けるよ?」


沈黙に耐えられなくて何か話そうかと思ったらタイミングが良いのか悪いのか、静乃が入ってきた。


「あっ静乃…」

「あーやっぱりここにいた!もう、仁ったらー」


ベッドに座ってる仁君の姿を見るなりどこか安心した表情をした静乃は、玄関の時みたいに仁君の腕を引っ張って部屋から出ようとした。


「あっ待って!」


ギュッ―……


気づいたら体が先に動いてて、後ろから仁君の服を掴んでた私。

…って、私ってば何しちゃってるのー!?


「お姉ちゃん…?」


不思議そうに首を傾げながらこっちを見る二人の視線が痛くて…


「あ、っ…また…」

「…ども。」


なんて会話しか出来なくて、服を掴んでた手を名残惜しそうに離した私は苦笑しながら二人の後ろ姿を見届けた。



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