秘密暴露アプリ~恐怖の学級崩壊~
周囲の闇と同化してしまいそうでよく目を凝らさないと見えない。


それでも、あたしの心臓はドクドクと嫌な音を立て始めていた。


この小さく見える人型が何であるか、すでにどこかで理解していたためだろう。


呆然として立ち尽くしている間に、今度は拓郎が動き出した。


拓郎は自分の方へカメラを向けて撮影を続ける。


その顔は恐怖にひきつり、額に汗が滲んでいた。


拓郎はなにも言わず、息遣いを響かせながら器用に手すりの上に立った。


「嘘……ちょっと、待って……」


途端に体が動いていた。


今から行っても間に合うワケがないのに、外へ出るために部屋を出ていた。


あたしが家の階段を下りはじめるのと、拓郎が屋上から飛び降りるのは、ほぼ同時だった……。

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