だから何ですか?Ⅱ【Memory】
言葉を挟んでいても濃度を落とさずな口づけだったと思う。
むしろ言葉を挟むことでもどかしさと焦れったさで熱が上がって、すべる肌にさえ欲求を擽られて限界寸前。
そんな欲に逆らえない手が無意識にも背中の下着のラインにあり、それでも最初の亜豆の『待った』も効果を残しているから躊躇い止まってしまう。
それがまた・・・無情にも欲が高まる焦らしに近いのだけども。
ああ、でも・・・限界。
なんて、下着のホックに指をかけようかと思ったタイミング。
「伊万里さん・・・」
「ん?」
「どうしましょう?」
「何が?」
「・・・・・我慢できそうにないです」
もどかし気に、熱い息と一緒に零された言葉の数々に主語はない。
確かめるように唇を離し、表情を捉えられる程度に顔の距離もあければ、映るのは声音のままもどかし気で微睡むような熱を孕むもの。
そんな表情に見入って見惚れて、自分の目に焼き付けるように見つめていれば。
「私・・・明日休みです」
「・・・・・」
「休み・・・取っておきました」
「っ・・・・・」
「だから・・・食いついていいですか?」
「アホか。・・・猫缶は黙って食われてろ」
アガッと、本当に食いつくように口を開け口づけようと顔を寄せてくる姿に、『させるか』と逆に顔を寄せ頭を引き寄せ食いつき返した。