だから何ですか?Ⅱ【Memory】




不意に割って入る様に響いたのは機械の唸り声の様なバイブ音。


抱きしめる腕を緩めれば、『すみません』と言ってポケットを探り始める亜豆がいる。


呼び出しか?と、覗きこむでもなく、ただ何の気なしにその位置から画面を捉えれば、表示されていたのは【ミケ】の文字。


眉を顰めたと同時に亜豆の視線がこちらに向いたのが分かる。


それとまたほぼ同時に自分の手が亜豆から静かに携帯を奪っていて、その流れのまま応答をタップすると耳に当てた。



「殺すぞ、」


「っ・・・」


『・・・わぉっ、・・フッ・・驚くくらいに攻撃的だね』



発した声音は荒ぶってはいない。


叫ぶでもなく、それでも静に重を乗せた本気の脅しで牽制だ。


目の前では予想外だと言いたげに驚愕に固まる亜豆が映り、耳には『へぇ、』と意外そうな三ケ月の声。


俺本人と言えば・・・不思議な程冷静。


冷静だけども無理に取り繕ったものではない。



『どうしちゃったの?さっきの戸惑いに満ちた声と全然違うじゃない?』


「別に、・・・開き直っただけだ」


『開き直った?フフッ、どういう意味?俺の読みではてっきりリオと擦れ違って拗れてる頃合いかと思ったのに』



クスクスと笑う声はこちらの苛立ちを煽りにきているのか?


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