だから何ですか?Ⅱ【Memory】




「・・・本気でするんなら誘拐して速攻で犯してんだろうが」


「それはこっちにも積もる話や事情があるしね」


「ほら、そうやって言葉で遊んでいつだって誤魔化す」



騙されねぇぞ。


そう言いたげな口調と鋭い眼差しにはミケの返答も静かに途絶えた。


そう、もう本当は言い返す余力もなくなってきているんだろう。


けれども悔しそうな表情はそこには一切なく、伊万里さんの一言に僅かに口元の弧を強め穏やかに笑う。


ああ、まただ。


私の角度からでは顔の表情も読みにくい背後近くから捉えるミケの姿。


穏やかの中に時折垣間見る『寂しい』の哀愁。


思わず抱きしめて撫でてあげたくなるような。


大丈夫だと慰めてあげたくなるような。


無意識に手を伸ばしてしまいそうな。


縛られていなければきっと・・・。





ああ、そうか・・・・だから私は縛られた?





無意識に、無自覚に、決意を揺らがす様な行動をする私だから?


ミケが私に甘く優しいのを知っている様に、ミケも私が無自覚に甘く優しいのを知っていた。


だから・・・なの?




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