だから何ですか?Ⅱ【Memory】
「待って、違うっ!!遅れてないの!!私が悪くて・・・」
「・・・・」
「ヤダッ、離してっ、説明する!!」
この手を離して。
私が全部を説明して何とかするから!
感情的になった自分を制御できずに、彼の手も振りほどこうと躍起になるも離してはくれず。
そのまま連れ出された外は荒ぶった感情に反して心地のいい春の陽気。
涙で濡れた頬に吹く風は暖かいのにヒヤリと冷たく感じて、無言で歩く彼の後ろ姿と離れて小さくなる建物にもどかしさが募って唇を噛みしめた瞬間。
「・・・言い訳は言い訳にしかならないんだよ」
「っ・・・」
「すべての言い訳を情を持って聞き入れていたら・・・立ち回らないのが社会だって」
そんな風に弾かれた言葉に、振り返ってきた諦めの笑みに、自分の焦りも捨て去るしかないのだと感じて力が抜けた。
脱力してしまえば決壊したように再び涙が溢れて流れて、下を向くだけに収まらなかった体ががくんと下がり膝を抱えてしゃがみ込んでしまった。
その後はもう・・・ひたすらに、
「っく・・ぅぅっ・・ふぇっ・・・」
どうしようもない、やり場のない涙を流し続けるばかり。