幸せの種

大きな旅客船のチーフパーサーを務めるコウ兄ちゃんは、毎年ちしま学園にかなりの金額を寄付してくれていた。

以前、どうしてそんなに良くしてくれるのか聞いたことがあった。

すると、コウ兄ちゃんは笑って答えてくれた。


「寄付金控除っていうのがあるんだ。ふるさと納税もそうだけど、どこかに寄付すると、その分だけ税金が安くなる。俺が働いて得た金の一部は、小さい頃世話になったちしま学園に使ってもらいたいと思ってさ」


それは、とても良い方法だと思った。

琉君にその話を教えたら「俺も医者になったら、そうしよう」と言っていた。


コウ兄ちゃんからの寄付金で、移動旅費と引っ越し費用を賄い、琉君は旅立った。

これからはなかなか、帰ってくることができないと覚悟して。

会えるとすれば、お正月休みだけ。

しかも、琉君はもう卒園してしまっているから、ちしま学園には帰って来られない。

琉君の帰省先は、高橋先生の家になった。


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