幸せの種

――どうしよう。お母さんに叱られる。千尋と別れさせられる。


美麗は悩んだ。

日に日に大きくなってくるお腹を隠しきれる自信はない。

それでも、産みたいと思った。

たとえ、誰にも祝福されなかったとしても。

たとえ、高校を中退しなくてはならないとしても。


――千尋と二人で、この子を育てていこう。千尋と自分の子どもだから、きっと可愛いに違いない。


ベビーカーを押しながら家族で公園へ行く幸せな姿を思い描き、不安な気もちを抑えようとした。


――大丈夫。もう、後戻りできない時期になった。

お腹に感じる小さな動きに驚き、体の変化を知られないよう、千尋と会う時間を減らした。

理由を聞かれても、笑ってごまかした。

千尋とお腹の子のため。

あともう少しで高校卒業だから、それまでは隠し通そうとした。


それなのに。


「美麗、別れよう」

「嘘! どうして……」

「美麗が俺を避けるからだろ!」

「違うの! どうして信じてくれないの?」

「女なんてみんなそうだ! 頼む。これ以上嫌いになる前に別れよう」

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