幸せの種
高校も一緒のところへ通いたいと思っていたけれど、どんなに頑張っても私の頭脳では、琉君の志望校へ合格することはできない。
だから、できるだけ琉君の学校の近くにある高校へ進学しようと考えている。
それができればいいのだけれど……。
穂香先生の家へ行く日の朝。
高橋先生が久しぶりに学園へ来てくれた。
ミニバンに荷物を積みながら、わたし達は高橋先生に挨拶した。
「高橋先生、お世話になります」
「元気そうだな。ちーちゃん、大きくなったな。うわ、琉輝にもうすぐ抜かれそうだ」
「先生、身長何センチ?」
「百八十二だよ。琉輝は?」
「春の計測で百八十だった。今年中に抜けそうだ!」
「ちょっと悔しいけど、大きくなれよ」
そんな話をしながら、車に乗り込み、あっという間に穂香先生の家に着いた。
二年前に建てたというその家は、わたしが小さい頃とっても憧れていた、赤い屋根の二階建ての家だった。