幸せの種


穂香先生が言っているのは、もっともだと思った。

わたしはまだ子どもで、ここを出るまでに色々な経験を積まなくてはならない。

普通の家庭だったら当然知っているようなこと……さっきの買い物のこともそう。

恋愛どころではない。



だから、琉君がまさかわたしに気もちを打ち明けるなんて、思ってもみなかった。



無事に買い物を終え、わたしはキッチンで穂香先生のお手伝い。

おちびちゃん達は高橋先生に遊んでもらい、琉君はリビングのテーブルで受験勉強。

時々高橋先生に質問しては、ひなた君を抱っこしながら丁寧に教えてくれる先生にお礼を言っている。


「できたよ~。琉君、そろそろ勉強道具を片付けてもらってもいい?」


穂香先生の合図で、みんなそれぞれ動き出す。

琉君はお片付け、高橋先生はおちびちゃん達の椅子とエプロンをセット。

わたしと穂香先生はリビングまでお皿を運び、合間におちびちゃん達の手を拭いてあげる。


わたしは『家族』ではじめて手巻き寿司を食べた。

泣けたのはワサビが効きすぎたせい。


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