このチャラ男一途につき…
自ら絡めた舌の動きでさえ吐季にされたキスの見様見真似。
自分でやってみれば相手を乱すどころかままならぬ呼吸に自分の方が息が上がって。
口づけで乱せぬ欲求を何とか満たそうと、無意識にも自分の指先は吐季の髪や衣服を乱して崩すのだ。
今まで見知った【吐季さん】や【吐季】よりもっと本質な姿を求めて。
それに抗うことなくされるがままに居てくれた吐季であったけれど、
「……巴…んんっ」
もっと、
「……はっ…おーい、」
もっと、
「待てって…ん……」
吐季の事をもっと…
「あー…もう…………巴っ!」
「っ……!!」
不意に待ったをかけに来た言葉と口元を覆った大きな掌の熱。
本能優先であった意識では一瞬は『邪魔だ』と殺気立ちもしたのに、至近距離から見つめ抜いてくる双眸の『待て』という抑制には理性の回帰。
回帰してみれば……
あ…苦しい。
目が回る。
酸……欠?
「く…るし、」
「そうだろうねえ。あんだけ呼吸忘れてがっつけば」
我に返れば無茶をした分だけのツケが体を蝕んで、まるで全力疾走をした感覚に息を乱してグッタリとしてしまう。
それなのに不完全燃焼な感情は今もまだ足りぬと燻ぶっているのだから困ったものだ。
そして、何より……
「はあっ…は……悔しい」
「フッ、何が?」
「吐季は殆ど乱れてない」
「フッハ…当然、」
そう、こちらはこんなに息を切らして消耗しているというのに、攻めこんだはずの吐季の呼吸は然程乱れずに、なんなら何事もなかった様に弧を描く。