羊だって、変るんです。
「出来るだけ杏奈のペースに合わせるよ。だから、無理な時は言って」

いつの間にか隣に座った凱がそっと杏奈の手に自分の手を重ねてそう言った。

「無理じゃない・・無理じゃないの・・急に意識しちゃうとドキドキし過ぎて苦しくなって・・それで、良く分からなくなって・・・」

「そっか。分かった。まず、デートしよう。お昼は隣同士で食べるだけにして、身近に感じる所から始めよう。
杏奈がドキドキしたら、言って。治まるまで手を繋いでいよう」

中学生レベルから初めてくれると言われて、申し訳ないような、ホッとするような複雑な気分になった。

「ありがとう。ごめんね」

「謝らない」

頭をポンポンと触られてくすぐったい気持ちを誤魔化すように頷いた。
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