羊だって、変るんです。
「兄さんが言ってた、杏奈の望みを叶えたって。それってこういう事なの?」

ジャラリと手錠のかかっている左手を目の高さまで上げて、意地悪そうな笑みを浮かべる。

「私の望み?!・・私の?・・・私・・・!?」

昨晩の慧とのやり取りは全く思い出せないが、自分の望みと言えば、凱との距離を縮める事だ。

そしてこの手錠・・・これならイヤでも距離が縮む。

「ちが、違う!そうじゃなくて・・拉致監禁が私の望みじゃなくて・・凱との距離を縮めるのが望みで・・。
その・・副社長は多分その・・離れられない状態になれば・・」

「嫌でも距離が縮むって事?」

コクコクと杏奈が頷く。
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