羊だって、変るんです。
「嫌じゃないけど・・・。難しくない?」

「難しい?」

「だって、私、自他共に認める家事能力0人間だよ。同棲したら凱の負担が益々増えるよ」

「負担だなんて思ってないし、来てくれたら頑張れるんだけど・・・
杏奈がどうしても気になるって言うのなら、家事代行とかデリバリーを利用してもいいし」

「う・・・分かった。でも、邪魔になったら直ぐ言ってね。
何時でも家に戻るから」

「杏奈」

咎めるような口調で名前を口にする凱にゴメンと謝った。

凱との事となるとどうしてもウジウジしてしまう。

それは多分コンプレックスの部分を刺激されるからだと分かっている。

トラウマはそうそう無くなるものでは無い事を実感してしまった。

「僕は杏奈に出来ない事を求めてないし、僕も僕に出来ない事を求められても困るよ」

「うん。そうだった。出来る事をするのが私たちだったね。」
< 76 / 172 >

この作品をシェア

pagetop