羊だって、変るんです。
帰りも凱が運転すると言うのを断って、杏奈が運転して帰る。
本当は、好意に甘えた方が良いのだろうが、今助手席に収まると確実に眠ってしまいそうなので、無理を言って運転させて貰っている。
行きは話す事が出来なかったので、ゆっくりと話しながら帰る事にした。
その中で、凱が一日も早い同棲を希望している事が伝わってくる。
『でもなぁ。家事能力が皆無の私と、これから忙しくて帰りの遅くなる凱とが同棲したら、凱の負担だけが増えるんじゃないかな・・・』
そう考えると、手放しに直ぐから同棲を始める事には躊躇われた。
「僕と同棲するの嫌なの?」
少し不安げに杏奈の横顔を眺めるその顔に、困ってしまう。