読めない彼の愛し方


やっと、ののかに会えた。

彼女に会った瞬間
泣きそうになった。

会いたかった。
心底そう思った。



一度は手放してしまった彼女。
いや、俺は手放したつもりはなかったけれど
ずっと彼女に甘えていたんだと思う。


彼女が家に来ているかもと思いながら、
先輩に誘われて飲みに行ったり、


帰る、と言う彼女を
お菓子で釣って家に連れて帰ったり、

コンパに行くと言う彼女に対して、
行って欲しくないくせに
何もないふりをして送り出したり、

彼女の笑顔が、100%じゃない時も
気付いていたのに
彼女の優しさに、愛情に甘えてた。


そんな彼女からの別れ。

引き止めても無駄だ、と思うくらい
彼女の意思は、決意は固かった。


「…分かった。」

そう言ってしまったけれど、
全然納得なんてしていない。

だけど今の彼女には
俺の側にいることの方が
辛いだろう。

そう思って、少し距離を置くことにした。




別れたと思った彼女から
返された鍵。


家に帰っても彼女がいない。

「おはよう。」「おやすみ。」
たわいもない連絡も無くて、


ののかの笑う顔が見たくて、
ああ、やっぱり彼女が居ないと
俺は生きていけないんだ。と痛感した。


もちろん、一人暮らしに
なんの不自由も感じてはない。

だけどののかがいることで
俺の生活に色が付く。


会いたい。



そう思ってすぐ
佳乃ちゃんに連絡をしていた。

以前ののかのスマホの充電が切れた時
佳乃ちゃんのスマホから
連絡して来たことがあって
その時にののかが登録していた。

佳乃ちゃんは驚いていたけれど
黙って話を聞いてくれた。

思うこともあるだろうけれど、
ののかの思いも汲んで、
誕生日に会いに行くことも
協力してくれると。

そして
「ののかにもあなたが必要だと思います。

だけど、確かに今じゃない。」

ののかは自分を責め続けていると。

本当は今すぐ行って抱きしめて
と思うけれど。




彼女は自分で強くなろうとしている。
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