俺にもっと溺れろよ。





「......え」




「......な、なんで1年生の教室に、あの早瀬先輩が?」



女の子達がそう騒いでるのは、朔先輩がいたからだ。


放課後一緒に帰る約束はしたけど。

だけど、まさか朔先輩が教室に来るとは思ってなかった......。



「......桃花、帰ろ」



「キャー!!!


もしかして、桃花って南さんのこと!?」



わたしよりも周りが盛り上がっている。


下の名前でそう呼ばれてドキッとする自分。

今日で2回目だ。

昼に初めて名前で呼ばれたときは、心臓の音が聞こえるんじゃないかってぐらい鳴っていた。


て、てかこの状況。

......どうしよう。


朔先輩、こういうの嫌いなんじゃないかな。

ん?でも、そういうの嫌いだったらわざわざ教室まで......来ないよね。


もぉ〜、朔先輩はどういう意図でわたしがいる教室まで来たの!?



「......ちょっと、桃花!


早瀬先輩、来てるじゃん!早く行きなさい!!」



「......え!ちょ、風ちゃん!?」



──ポンッ。

と背中を軽く押される。


きっと、わたしが困っていたのを助けてくれたのだろう。




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