俺にもっと溺れろよ。





人だかりが出来てていて、その波に呑まれる。

足が絡まって、



「......あっ」




......やばい、転けちゃう。と思った瞬間。



────ふわり。


と誰かがわたしを包んだ。


この状況、入学式のときに少し似てる。

あの時も、わたしが転けそうになったとき、助けてくれた。



「......あっぶね」



「......すいません、ありがとうござい......ま」




助けてくれた人の声にもしかして......と、顔を上げると。

思わず驚いてしまった。



わたしを助けてくれたのは......。


あの時と同じ。




......朔先輩だったから。


いつも、わたしを助けてくれる。

本当に、王子様みたい。


てか......な、なんか静かじゃない?


一瞬、静かになったと思ったら......



「キャー!!!」



その一部始終を見た女の子達が、また声を出す。


......朔先輩の人気凄い。

クールで有名な朔先輩のこんなところみたら......そりゃ、そうなるよね。


......これ以上、朔先輩のことを好きな人が増えたら嫌だな。


そう思ってしまう、嫌な自分がいる。





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