俺にもっと溺れろよ。
*
それから、彼女は、
「早瀬先輩〜!!
おっはよ〜ございま〜す!」
このように毎日挨拶してくるようになった。
なんだよ、この南とかいう1年。
初めてなんだよ。
俺が振ってもこんなに諦めずにアタックしてくるのは。
正直、こういう女は初めてすぎて戸惑ってる自分いる。
今までは、普通に軽く挨拶を返すだけだった。
さすがの俺も、挨拶は無視できねぇよ。
「おはよ、南」
そして、とうとう俺は名前付きの挨拶を返すようになった。
てか、名前付きの挨拶ってなんだよ。
目の前で固まる、南。
「......あ......の」
「なに......」
「い、い、今!
南って言いました?言いましたよね!」
ほんと、なに。
俺が名前呼んだだけで、なんでこんな喜んでんの。
今までいなかったタイプすぎて、ほんと調子狂いそうになる。
「言ったけど......」
ほんとに言っただけだけど?
「あ、ありがとうございます!」
一瞬、南の言葉が何に対して感謝してんのかわかんなくて固まる。