俺にもっと溺れろよ。
ほんと、変わった奴。
思わず笑いそうになったわ......。
なんて、考えている時には、もう前には誰にもいなくなっていた。
*
──その日の昼休み。
「早瀬先輩!」
後ろからそう、大声で呼ばれた。
俺は、少し驚きながら振り返る。
って、この声朝も聞いた気が......。
「えっ、......南?」
俺の予想は、見事的中する。
そこには、南桃花がいた。
「この子、朔に懐いてるえっと......桃花ちゃんだっけ?」
そう俺より先に、口を開いたのは、幼稚園からの幼なじみの天沢夏輝。
こんなこと幼なじみに言うのもなんだけど、頼りになる奴なんだよな。
......ってか、なんだよ懐いてるって......。
勝手なこと言うなって。
「なんで、わたしの名前知ってるんですか?」
そら、知ってるだろ。
まぁ、俺が知ってる理由なんて、言いたくないけどなと、思っている時......。
「えっ、朔が桃花ちゃんのこと話してたからだよ」
そう、夏輝が少し驚いた顔をしながら答える。
はぁ、夏輝。お前さ......。
......何、勝手に言ってんだよ。
でも普通、あんなに毎日挨拶だったり、告白(?)だったりしてくる奴のこと話すだろ。