陽華の吸血鬼①【一人称修正ver.】【完】
「えっ、でも……」
「だったら、真紅がおいで?」
黎明の吸血鬼は顔を背けたまま、瞳だけで私を見てきた。
「寒いから、ちゃんとあったかくして。俺のこと知りたいんだったら真紅が外に出ておいで。……危ない目には遭わせないから」
鍵を壊した。
自分を閉じ込めていた部屋の、鍵。
私が初めて見た外の世界は夜。銀色の輝きを背負って、優雅に立つ彼の場所。
そこに行きたいと、思った。
そこに、いきたいと。
そこで、生きたいと。