陽華の吸血鬼①【一人称修正ver.】【完】
「え……黎、もう逢えないの……? さっき、一緒に生きるって……」
「最期のときには逢う。でも、真紅は俺みたいな奴とは近づかない方がいいんだよ。それが人間の生き方だ」
「でも、さっき――私の血だけって……」
「言ったけど、正直俺はあんま血ぃいらないんだよ。半分だけだからかな」
「でも、まずい血を飲まされてたって」
「俺を支配下に置くために、な。血を与える、それは俺にとって主みたいなモンになるから、そいつがそういう存在である限り、俺はそいつらに反旗を翻せない。そういう意味」
「……もう、逢えないの……?」
淋しいよ。真紅の唇は小さく動いた。
「……それは、今だけしか思わない。暁(あかつき)になれば消える。だからな、真紅。……少しだけ、楽しかったよ」
「れ
「最期のときに、また逢おう」
真紅の目の辺りに手をかざして、影を作る。
「俺はお前に憧れたよ。綺麗な子」
――ふっと、真紅は意識を失って俺の腕に倒れて来た。