大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
初めは背を撫でていた手が腰に回り、胸にたどり着くと、私はもう、顔を隠していられなくなった。

「ん…、ダメ…、大王…」

私は大王の手を止めようとするが、逞しい腕は私の力ではビクとも動かない。

「ダメです………あ……」

私は大王の手に翻弄されて、次第に我を忘れて身を捩り、仰け反っていく。



事を終えて満足した大王は、さっさと衣を身に纏う。

「アヤ、急がないと、そろそろ女官たちが
朝餉を持って来るぞ。」

私は横になったまま、大王をじとっと睨んだ。

「大王は意地悪です!」

私が言うと、

「アヤ、悪かった。」

と大王は私の髪を撫でる。

「私の嫌がる事はしないと
おっしゃったのに。」
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