THE FOOL
私の唇が黒い石に触れるなら、雛華さんの唇が私額に触れて視線を誘導する。
それに見事乗せられ顔を上げればゆっくり額から離れた唇がこめかみに触れ頬に触れてゆっくり離れた。
一度覗きこむために離れた様な顔の距離。
雛華さんの宝物であるグリーンアイと視線が絡むと、まるで磁石の様に引き寄せられるようにゆっくりと私に顔を近づけ・・・・触れた。
心臓が少し強く反応した。
雛華さんの唇がその柔らかさを示すように啄んで更にしっかりと密着させる。
唇・・・・。
より僅かにずれた口の端。
だけども少しでも横にずらせばお互いの唇が掠めキスになりそうな際どい位置。
だから、少しも動かないように不動になり、ただ雛華さんが動くそれに身を預ける。
さすがに少し動悸が強まる。
なんて危険でギリギリな境界線のそれだろう。
一歩間違えれば落ちてしまいそうな崖っぷちを楽しんで覗きこむ様な雛華さんを想像してしまう。
うん、この人は興味が働けば自分の身を顧みずにその崖を覗くだろうと小さく納得し肩の力を抜いた。
瞬間・・・。
新しく与えられた感触にビクリとした。
悪戯に啄んでいた唇の端。
その感触になじんできたタイミングを見計らってか。
もしかしたら私の緊張が解けたのを見計らってか触れていた唇の割れ目からその部分をくすぐった雛華さんの舌先。
そりゃあ、ビクッとなりますって。
その反応に気がついて、ゆっくり離れた姿が悪戯っ子の様に笑って私の頬を撫でてくる。
だから・・・・つい怒れない。
「ごめん・・・唇だけじゃ足りなくなった」
「雛華さんの探求心には慣れました」
「ふふ。うん、でも、奥が深くて困るなこの項目は」
そう言ってクスクスと笑い私の髪の毛で遊び始めその指先に移る視線。
一体何の事かと方眉を上げて視線が戻るのを静かに待てば。
指先に絡めていた私の髪がはらりと落ちればすぐに戻された視線。
そして答え。
「【触りたい】は・・・・その範囲が広すぎて簡単に攻略できない」
困ったように笑う姿に思わず見惚れた。
雛華さん、それは・・・きっと、雛華さんでも答えは見つけられない。
みんなそれを追い求めて、だからきっと抱き合ってそれを満たすんです。