THE FOOL




はっきりとした答えの見つからないそれに探究心を働かせたら・・・、


雛華さんはずっと追い続けるのか、


それとも、途中で諦めその独自の輝きを失うのだろうか?


後者は嫌だな。


そんな風に思って自然に、それが当然のように雛華さんの頬に触れてその眼を見つめた。


眼を見たと言うよりは、眼の色味を見た。



「うん・・・確かに・・・複雑ですね」


「ん?何が?」


「複雑な色味の綺麗な緑」



パッとその表情が輝いたのを気がつく。


言われた瞬間に開いた動向が緑を揺らして直ぐに目蓋で細まるそれ。


満面の笑みは自分の宝物への理解と賞賛に反応しての物。


それを言葉より早く私に示してきたのは・・・やはり、触れ合い。


引き寄せられ抱きしめられる体。


すでに髪の毛の水分はだいぶ飛んでいるようで、雛華さんが撫でる私の髪が抵抗なくサラサラと手櫛を許していく。



「やっぱり、芹ちゃん大好きだよ」


「えっ?」



もう、何度も繰り返された言葉を思わず聞き返したのは、抱擁ばかりは勢いがあっていつものそれだったのに。


耳元に落とされた言葉はあまり聞きなれない柔らかい口調のそれ。


無粋にも聞き返すような反応をした自分の口をすぐに閉ざし、軽い緊張感を感じていればクスリと響く雛華さんの小さな笑い声。



「・・・ひとつ分かった」


「えっ、・・えと・・えっ?」



私の困惑ばかりの反応に遠慮もなく小刻みに震えて笑った雛華さんが、くっくっくっ、と声を漏らし、一息後に腕に更に力をいれた。



「・・・触るって、

・・・・安心して気持ちいい事だ」


「・・・それは、・・共感です」


「ふふっ、答えの一致。・・・気持ちいいね、芹ちゃん」



ええ、


驚くほどに・・・安心して、癒されて、


人肌って気持ちいい。


確実に傍にある存在感の確定。


【触れる】は、


理屈じゃなく。


そして安心して気持ちいい事。


相手の存在感の確定。



探求って・・・、楽しい。


「あの・・・追加しても?」


「ん?何を?」


「・・・・人肌は・・・眠くなります」


「ああ、同感かも」



私の付け足しにクスクスと笑った雛華さんもその目蓋は軽く重そうだ。

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