忘れられない君との夏。


帰り道、私たちの間に会話はなかった。


何か言おうとしても、言葉がうまくでてこない。


なのに、足ばかり進んで、私の引く自転車の車輪が回る音しかしない。


何か言わなきゃ。もう、洸と別れる場所はすぐそこだ。


でも、なんて言う?


なにが言える?


お互い頑張ろうね、受験嫌だね、1週間ありがとう…


言うことはあるのに、それに意味があるのかわからない。


いつもの分かれ道で、私たちは止まる。

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