忘れられない君との夏。
私は左。洸は右。
これが、本当に本当の最後。
亜美の試合もある。二学期になれば、また会える。
でも、分かる。
2人で会うのは、これが最後だ。
なにも言わなければ、これが最後だ。
沈黙が、しばらく続く。
「…1週間お疲れ様。家でも、さぼんなよ」
先に沈黙を破ったのは、洸だった。
洸はいつも通り笑って、そう言う。
…なんで、いつもみたいに笑うの?
「じゃあな、葵」
洸は、手を振って私に背を向ける。
「ばいばい」
私も、洸に背を向ける。
私たちは、いつも通り、さよならをした。