目を閉じたら、別れてください。
「うう。女の子ってこれだから怖い」
「やった。あたり! すっごーい! 玉の輿! イケメン!」
「別れてるんだってばっ」
騒ぐ泰城ちゃんに念を押しつつも、さっきまで彼がいたソファに座り込む。
香水の匂いが微かにするけど、昔はしなかった。
本当にさっきの彼はあの人なのだろうか。同姓同名の別人さんじゃないの。
それか行き別れた双子の弟とか。兄でもいいけど。
「センパーイ! 現実逃避から戻ってきてくださーい」
「戻ってこれない。私が明日、海に浮かんでいたら犯人はあいつだから」
「……どんな別れ方をしたんですか」
流石の泰城ちゃんも若干引き気味だったが、私の言った言葉を知ればもっと引くだろう。
「今日は飲みましょう。先輩のおごりで。場所はいつもの焼き鳥屋さんで予約しときますね」
「ちゃっかりしてる。いいよ、今日は奢る」
泰城ちゃんの機転でなんとか帰って頂けたもんね。
我慢するしかないのだ。