目を閉じたら、別れてください。

このまま順調にいくと思っていた。

『エッチが下手だから』

その言葉に頭を殴られた気分だった。
おかしいだろ。エッチが下手も何も愛撫も満足にさせてねえし、キスだって中学生みたいな色気のねえやつしかしてなかったろ。
それか、強引にいけばよかったのか。裸を見られるのを嫌がる女に『綺麗だよ……』とでもいえばよかったのか。


俺は性格が悪い。それは認めよう。
変に悟って偏屈で、頭の回転が速いせいで周りの考えが読めて先手を打って行動してしまう。
なのに、本当に桃花の行動は読めない。何が興味を引くのか、何がプレゼントしたら喜ぶのかもわからん。
ブランド物のバックより、コンビニのペットボトルのおまけの方が喜ばれたことがあるぐらいだ。

飽きさせない。そばにいていつも新鮮で、退屈しない。
もっと知りたいのに、ガードされてる感じ。
俺の方にも入ってこない感じ。
この居心地が悪くねえと思った。
それに、会社のことだってある。桃花のじいさんの土地を買い取れば、新しい部署が動き出せる。桃花の爺さんは、斎藤専務より桃花の方に甘いのは知っている。

『別れたいの』

その言葉に、一瞬だけ頭が真っ白になった。
< 138 / 208 >

この作品をシェア

pagetop