目を閉じたら、別れてください。
すぐに式場のドレスサロンに電話をかけた。
今まで、嘘をついてきたせいか。
彼女が好きだと自覚していなかったとき、嘘の自分を演じて、好きでもないのに抱いて――。
好青年を演じたウソつき野郎は、目の前の桃花を知ろうともしていなかったからか。
『はい。ドレスサロン××店、田浦です』
「お世話になっております。○月×日式予定の新郎の神山です」
『神山さま、ですね。世話になっていります』
「すいません、都築の方が全くドレスの試着に伺えていないと聞いて――」
確かめてみると、斎藤専務の言ったとおりだった。
予約当日、時間になっても来ないので心配になっても連絡がつながらないと。
数日たってから、忘れていただの具合が悪かっただの、急なせいごとだったのだと詫びの連絡が入るらしい。
俺も謝ったが、彼女の行動に確かに感じていた違和感が納得できた。
俺はまた、何か見落としている。
彼女のウソを、見落としている。
電話を終えると、すぐに桃花にメールをした。
『今日、時間ができたんだが家に行ってもいいか?』