目を閉じたら、別れてください。
資料の閲覧が終わったくさいのに、全く話を切り上げる様子がない彼を、叔父さんは柔らかい表情で見る。
その表情を、部下の前ですれば、ウソツキな進歩さんより人気になれるのに。
「『斎藤さんにしか聞けないんだけど』って。情けない、引きずってる様子で、いたたまれなかった。こんな顔を、姪がさせてると思ったら、いつも申し訳なく思ったよ」
「……叔父さん、会議は?」
「真面目に聞きなさい。君が彼と不誠実な別れ方をしたからだ」
叔父さんの声のトーンが低くなる。表情があまり変わらないので声でよくわかる。
私に怒っている。可愛がってもらっていると思っていたから、ちょっとショックだった。
「笹山くん、まだ終わらないんですか」
気まずくて、叔父さんの元から離れ彼の元へ行く。
「あ、終わったよ。すぐまとめるから待っててください」
「私、ロビーで待ってます。関係ない私が見てはいけなさそうな資料ですしね」
「こら、桃花――都築さん」
叔父さんの制止も聞かず、エレベータの方へ向かう。
最上階まで行ってしまっている。
早くしないと叔父さんが来てしまう。
「そこまで避けなくてもいいと思うんだけど」
「うわ」