目を閉じたら、別れてください。
何が言いたいのか、まるで腹の探り合いをしているみたいでこの空気が嫌だった。
睨みつけるが、彼は愉快犯みたいな笑顔をしていて不気味だ。

「俺のことも、どう抜け穴があるか探してる。一年前の別れ話の時みたいに、どういえばあきらめるか考えてるだろ」
「ど、うかしら」
全くその通りで、驚いた。誠心誠意で謝るから許してもらおうとも思っていたがこの調子なら難しそうだ。

「俺はあんたが思ってるようなちょろい男でも、寡黙でエッチが下手な男でもない」
「ぶっ」
「大体さあ、寝っ転がって何も奉仕してこないくせに、あれは嫌、とかこれは嫌とか、何もさせない、何もしないくせに何がエッチが――だよ。笑える」

くくくっと小馬鹿にした笑い方に、かあっと頭に血が上るのが分かる。
昨日までは謝ってやろうと思っていたのに、今は殴ってやりたい。

まどろっこしいことをせず、殴って別れたらよかったのかもしれない。

「お互い腹の探り合いは止めて、こんな感じでちゃんと話し合おうね」
「むかつく」
「店はもう予約しておいたから」
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