目を閉じたら、別れてください。

「いい加減、どいてください」

閉のボタンを押されたままでは、一階に降りたのに出られない。
いい加減でないと、開くのを待っている人が扉の前にいるかもしれない。
不自然な時間は怪しまれる。

「あんたが今から来るって聞いて、急いで駆けつけた俺にその言い方はないんじゃねえの」

取り出した携帯を操作すると、私に液晶を見せながらワンギリして見せた。
それと同時にエレベーターの扉が開いて、外に出た。
外には、誰も居なかったのでほっと胸を撫でおろす。

「今、ワン切りしたから。それ、俺の番号」
「は? 私の番号!」
「……変えてないだろ? で俺の番号だけ消してそうだなって」

勝ち誇ったように笑われて戸惑う。
彼は本当に私を知らなさすぎる。
一方的に私が別れを告げて逃げたから、そう思っただけなのかもしれない。

「あれ? 結局ほぼ同時じゃん」
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