目を閉じたら、別れてください。
「だって美人と付き合ってたくせにいきなりお見合いとかしたら、自暴自棄になったしか考えられないじゃん」
「そう? 彼の行動におかしい部分はなかったよ。君みたいに嘘はついていない」
「もう!」
焼いていた二枚の上カルビを両方かっさらうと、呆れた顔をしつつもまた二枚焼いてくれた。
大きく口を開けていたら、牛タンも到着して会話が一瞬途切れる。
「で、君は不誠実な嘘をついていたけど、また不誠実にお付き合いするのかい?」
「だ、から、――猫被ってた進歩さんも悪いんだもん。それに――」
元鞘に収まりそうと言うべきか悩む。
目の前の少女漫画大好き、理想高杉のせいで婚期が遅れているイケメンに、私と進歩さんの今の関係は説明したら最低だと呆れられそう。
「謝ったら許してくれた、し」
「……それは彼が優しいからじゃないぞ」
焼いたお肉を、叔父さんは平等に一枚ずつトンクで分けてくれた。
一枚を丁寧に食べながら、メニューを見る。
彼が優しいからではない。
じゃあどうして?
「本当なら慰謝料だの色々払ってもいいぐらいの精神的苦痛を一年も彼に与えていた。理由はわかるかい?」
「……分かりません」
牛タンを焼こうとトンクに手を伸ばすと、叩かれ奪われた。
「人を動かすのは理性じゃないんだ」