目を閉じたら、別れてください。

「この上カルビに誓うかい?」
「牛タンにも誓います」
「よかろう。食べなさい」

叔父さんが偉そうに頷いたあと、信用してくれたのか話題は新巻の少女漫画の話になった。
叔父さんは、ちょっと強引で俺様なヒーローが最近多くて不満らしいが、今回の新巻のヒーローは大絶賛だ。
……漫画のヒーローみたいな押す部分がないから、叔父さんはこんなに格好いいのに恋人がいないのかな。

持ってる時計も着ているスーツも、身に着けているモノは上等だし。
喋り方も丁寧で優しいし。
確かに仕事中は不愛想で少し怖いかもしれないけど、公私がしっかり分けてて素敵じゃない。

「……少女漫画のヒーローは期待しないけど、せめて叔父さんみたいな人と結婚したかった」
「こら。彼で妥協したような言い方はやめなさい」
「そんなわけじゃないよー」
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