難病が教えてくれたこと
何よりみんなの笑顔が優しくて嬉しかった。
「李那!17歳おめでとう!」
「ありがとう!」
とびきりの笑顔。
みんなにお返し!
裕くんから貰ったピアス。
可愛くてすぐにつけた。
お母さんの美味しい料理…
それも私の好物ばっかり!嬉しすぎる!
「李那、今日は太るくらい食え!」
お父さんったら…
これ以上豚になったらどうしれくれんだよっ…
それくらい張り切ってお母さんは料理を作ってくれた。
「ありがとうみんな!」
ーピロン♪
…誰だろ?
あ、海澪…
『李那、誕生日おめでとう!』
そう言えば柊とのデートはどうなったんだろう?
後で電話してみよっと。
『ありがとう海澪!後で電話するね!』
「李那!」
「ん?」
裕くん、ニヤニヤしすぎだから…
「はい!フーしろフー!」
…フーって…
語彙力の無ささ、流石だね、我が家は。
「…よっしゃあ!1発!」
お父さん、私より喜んでるじゃん…
「ありがとうね!皆!今日は人生で最高の日だよ!」
大好きな家族が周りにいて。
友達にも祝ってもらえて。
何よりも大切な人が隣にいて。
最高。
最高の誕生日だ。

「ーへぇ、スポーツね…」
『そうなの!楽しかったよ!また行こうよ!私たちも!』
私たちもって、海澪、行ったばかりでしょうが…
夜。
私は自室で海澪と電話していた。
勿論、本題は海澪と柊のデートだ。
『んで、さ…李那…』
「何?」
『私ね…』
「うん。」
『秀一くんと付き合うことにした。』
…だろうなとは薄々感じ取ってた。
多分デートした日だろう。
「良かったじゃん、おめでとう」
『ありがとう李那…』
デート行ったのが先月の中頃だから…
もう1ヶ月か。
畜生私に隠れて付き合ってたとかムカつく。
『報告わざとしなかったわけじゃないの。
蒼空とのこともあったし、李那に余計な心配かけさせたくなくて…この結果になっちゃった。ほんとにごめん。』
まあ、あの時は私も色々あったからな、仕方ないや。
「ううん、気にしてない。幸せにね、海澪。」
『うん、おやすみ、李那。』
「おやすみ、海澪」
私は海澪との電話を切って隣の家のベランダに飛んだ。
ガラガラ普通に開けると裕くんは呆れた顔をして私を見る。
「その入り方やめろよ。心臓に悪いじゃねぇか。」
「止まる?」
「止まったら死ぬ。」
裕くんは笑いながら私を迎え入れてくれた。
「海澪ねぇ」
「おう。」
「私らのライバルだった柊と付き合うことにしたんだって。」
「へえ、柊か。
やるなあ、海澪ちゃんを物にするなんて。」
私はその日。
裕くんの腕の中でぐっすり眠った。
【如月李那side END】
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