難病が教えてくれたこと
蒼空…金持ちだったのか…
すげえ家だな、ここ。
「…多分熱中症だと思うよ。」
李那が俺の脈を測りながら顔色を伺う。
「魘されてたけど、大丈夫?」
…あれはもう見たくない夢だな。
なんであんな夢見たんだ…
最悪だ。
「裕くん?」
「あ、わり」
まさか俺、また何か悪いことでもするのか?
この夢、その警告だったりして…
…まさかな…
「裕さん、具合はどうですか?」
「大丈夫、ありがとう蒼空」
「いや、最初に異変に気づいたのは李那ですよ。」
李那?
「いやあ、顔色悪くなってってたからびっくりしたよ」
李那は人の異変を見逃さない。
それは俺に限ったことではない。
「裕くん、具合悪くなりやすいもんね。」
「…おお。」
「暑い時に動きすぎてよくぶっ倒れてたもんね。」
…恥ずかしい黒歴史を言われてる…
「…陸上の練習の時も……」
李那が言葉を言いかけて口篭る。
だからこの時の李那が何を言ったのかは分からなかった。
【中矢裕side END】

【更科蒼空side】
「じゃあ蒼空、また学校でね!」
昼過ぎ。
回復した裕さんと李那は仲良く帰って行った。
サプライズ…成功したらいいっすね、裕さん。
ーブブブ…
…?
誰だ?
こんなやつ知らねぇけど。
とりあえず見てみるか。
井上世莉香…?
こんなヤツいたっけ?
んんんんん〜?
…あっ、あいつか、あの背の高いやつ。
何かと絡んでくるやつだな。
『蒼空くん!届いたかなあ?!』
…えーっと…
なんて返せばいいんだろう?
無視でいいですかね?
ーブーッ…
あ、また来た。
今度は李那かよ。
『蒼空、今日はありがとね。
裕くんもありがとって言ってたよ。また遊ぼうね〜』
李那からのLINEは面白いくらい素っ気ねぇ。
『俺も楽しかったし、いいよ。裕さんには体に気をつけてって伝えといて。』
…俺は井上からのLINEを無視。
まさか、それだけの事が新学期にあんな出来事に繋がるとは思ってなかったんだ。
「…はあ…」
裕さん今頃プレゼント渡してるんだろうな…
俺は…
部屋に戻った俺は布団にダイブ。
そのまま深い眠りに落ちていった。
【更科蒼空side END】

【如月李那side】
「李那!誕生日おめでとう!」
蒼空の家から我が家に帰ってきた私たち。
家に帰ると風雅くんや美那、私の両親や裕くんの両親。
みんなが集まってクラッカーを鳴らしてくれた。
当然、びっくりもした。
「…え?」
「李那、誕生日おめでとう!」
お母さんからは美味しい料理。
お父さんからは可愛いストラップ。
そして美那と風雅くんからはカバン。
裕くんからはピアス。
プレゼントが多すぎてびっくりしたよ。
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