難病が教えてくれたこと
まあ、だからこそ私も李那といると居心地がいいんだけどね。
「李那、お前ちょっと太っただろ。」
「言わないで、殴るよ?」
「なんか変わったよね〜」
太ってはない、多分だけど。
でも、李那何かが変わってしまった気がする。
性格はそのまま面白いままなんだけど…
なんかが違う…
「李那、なんか変わった?」
「変わってないよ?」
「…うーん…秀一はどう思う?」
「何かは違うけど…」
わかんない。
秀一はしばらく悩んでいたけど最終的に首を横に振った。
「別に変わってないんだけどな…」
当の本人も唸っている。
「黒染め落ちたからじゃねぇか?」
…黒染め…
あっ、それだ!
李那確か黒染めしてたよね…
それが落ちてきてるんだ。
「あ、そっか、落ちてきたんだ黒…染め直さなきゃ…」
李那は自分の髪を掴んでため息を着いている。
「地毛だっていう登録出してあるんだろ?」
「うん。」
「ならいいじゃん。」
裕くんは多分李那の地毛の色が好きなんだろう。
少し茶色っぽいような、赤っぽいような髪の色。
あれが地毛だなんて羨ましい。
「どうだろ、だって新学期文化祭あるじゃん…」
「そん時だけスプレーで…」
「スプレーって言う手があったか。」
李那はぽんっと手を合わせて喜んでいる。
「あ、邪魔しちゃったかな?ごめんよ、じゃあ帰るから♪」
李那はルンルンで帰ろうとした。
「あ、如月さーん!」
「何、柊」
「良かったらダブルスでテニスしません?」
「「する!」」
…スポーツ大好きカップルだもんね…
そりゃするってなるわ…
ペアは勿論、カップルで。
私と秀一、李那と裕くん。
あのカップル組ますと強いんだよね…
私もテニス部だけど、負ける気がする…
ーパシュッ…
「ふぁっ?!」
……
………
李那…
「お前…」
「いやあ、難しいなあ…コツを掴むまでに時間かかるかも…」
裕くんが李那にデコピンする。
…ラリーが1回もないまま、終わった。
私がサーブを打って、終わった。
「今度こそ打つ!」
李那は意気込む。
私は不安を覚えつつ、もう一度サーブを打つ。
ースカッ…
「あれ…おかしいな…」
李那、もしかしてテニス得意じゃないのかな…?
「…でも、次は何となく打てそう、何となく掴んだ気がする…」
私は3度目の正直。
もう一度サーブを打つ。
ーパコッ…
「…お、…あぁ…」
李那は打った、打ったんたけど、…
…こちらに帰ってこなかった…
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