難病が教えてくれたこと
聞きながら3人で移動する。
話を聴き終わった李那は感想を一言。
「ストーカーかよ。」
…流石李那。
教室に着いた私たちは荷物だけ各自置いて自販機に向かう。
李那がみかんジュース飲みたいって言うから。
「…どうしよう、返信しなきゃダメだったのか…?」
蒼空は自分を追い詰めている。
「いいんじゃないの?
あの人のLINEに返信しづらいのは私も知ってるし。」
李那はみかんジュースをニコニコ嬉しそうに飲みながら蒼空に一言。
「私もあの人からLINEとか来るけど、無視してたら来なくなったよ。」
「…そうなのか?」
「うん、それに今日の井上、蒼空を待ってたわけじゃなさそうだし。」
李那は教室の窓枠に腰掛けて足をプラプラさせながら外を見る。
「噂をすればだ。」
李那は外を指さしてニヤニヤ笑う。
「…噂の元カレ?」
「…それは無いんじゃ…」
蒼空もちろりと外を見る。
「あ、なんか手紙渡されてる。」
「…なんだろうな…」
蒼空はなんかほっとした顔で自分の席に戻っていく。
私たちもそれぞれ席に戻り、好きなことをする。
蒼空はゲーム。
私もゲーム。
李那は睡眠。
…自由すぎる…
井上は気持ち悪いくらいにやにやしながら手紙を席で読んでいる。
私はその様子をぼーっと眺める。
眺めていたのはいいけど、だんだん井上の顔が険しくなってきているのが分かる。
…元彼からの手紙でしょ?
ヨリ戻そうとか書いてあるんじゃないの?
私はそういう軽い意味で眺めていた。

始業式も終わってから私たちは3人で教室でおしゃべりをしていた。
井上はあれから始業式には出ていたけど、おわって教室に帰ってから手紙をグシャグシャに丸めて捨てているのを見た。
李那もその様子を眠そうな目でちろりと見ていたから知っている。
井上も帰って私たち3人になった教室に裕くん登場。
「よっ」
「裕くーん」
李那は相変わらず窓枠に座っている。
危ないのにそこ…
裕くんも来たところで李那がポケットからあるものを取り出した。
それをみて私と蒼空はびっくり。
だってそれは…
井上世莉香が捨てた元カレさんからの手紙だったから。
「何が書いてあるか、知りたくない?」
李那は意地の悪い笑顔で手紙をプラプラさせる。
「それ、プライバシー…」
裕くんが口篭るけど李那はお構い無し。
「プライバシー考えてるなら家で捨てるよね?
でもこれはゴミ箱に普通に捨ててあった、私は“拾った”だけだもの。」
…ごもっともだ。
流石李那…
怖いもの知らず…
< 65 / 200 >

この作品をシェア

pagetop