なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「そういえば、朱熹ちゃんまた府庫に行っているらしいじゃないか。

いいのか、後宮から出しても。

宮廷内には、毒殺未遂の時、餡餅売りだった朱熹ちゃんの顔を見ている官吏がいるだろう。

見られたら気付かれるんじゃないのか?」


「現在の彼女の姿を見て、あの時の餡餅売りの少女だと分かる者はいないだろう。

見た目も雰囲気も変わってだいぶ垢抜けているから、似ているだけと押し通すことは十分可能だ。

それに、彼女の昔を知っている者を気にしていたら、将来的に公の場に彼女を出すことができなくなる」


「そうだな、朱熹ちゃんの一番の役目は心の声を聴くことだ」


 曙光は黙って頷いた。


「それはいいとして、芸術の森には確か……」
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