なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 なるほど、と朱熹は思った。


 朱熹も三食御膳が出る。これを出してほしいとか、これは嫌いだとか、そういったことは一度も言ったことはなかった。


朱熹の健康を考えたとても美味しい食事なので、感謝することはあっても不満に思うことはない。


「では、作ったら食べていただけますか?」


 朱熹はおずおずと言った。


「もちろん、喜んで」


 曙光は柔和な笑みを見せた。


 胸がトクンと高鳴る。


 たまに見せる笑顔がとても優しい。


 普段は仏頂面で怖く感じることもある顔だけれど、きっとこの優しい笑顔が彼の本来の姿なのだろうと朱熹は思った。


(陛下の笑顔をずっと見ていたい)
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