なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 朱熹と曙光は形式上夫婦であり、恋をすることは幸せなことなのだが、世の中の夫婦のありようとは違う形であるということを理解していた。


 夫婦となったのは、心の声が聴こえるという能力を使うために皇帝の側に置く必要があったからで、朱熹は女だから妃という立場が一番都合が良かったからだ。


 そこに、愛だの恋だのという感情はない。


 さらに、曙光がついでにと望むなら跡継ぎを産む役割も担う可能性があるのだけれど、そこにあるのは義務的な感情だけだ。


 そう、あくまでついで。


 愛し愛され夫婦となり、子供を設けることを望める立場ではない。


(あまり考えすぎるのもよくないわね。

こういう時は、陽蓮さんの演奏を聞いて癒されましょう)
< 143 / 303 >

この作品をシェア

pagetop